「恋はみずいろ」を聴きながら

北海道釧路市で不動産鑑定士をしております小原孝太郎と申します。普段の生活を中心に書いてます。

樋口一葉「にごりえ・たけくらべ」に再挑戦

今週に入って、寝る前の読書は樋口一葉の短編集を少しずつ読んでます。先日の読書会の過去の課題図書だったことと、拝聴した対談の中で何度も読み返せる作品を繰り返し読むのが良いとのお話を聞いたせいかもしれません。意外に古典の名作小説で読んだことがない作品は少なくないですし、また、若い頃読んだけれど、人生経験未熟ゆえ時期尚早で理解しないで読んだ本もあります。夏目漱石の「明暗」を読み終えたら、もっと柔らかい本を読もうと思ったのですが、いい機会なので、同じ明治時代で紙幣の肖像にもなった女流作家・樋口一葉の作品集を手にすることにしました。


今回は文語体のため、当初半分入眠剤みたいになってましたが、さすが著作権フリーの古典小説だけあって、「にごりえ」や「たけくらべ」の現代口語訳をオープンにしている無料サイトもあったりして、表題の二作品はなんとか読み終えることができました。

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(ここ数日一気に草花の緑が芽吹いた気がします。近所の桜もやっと見頃に)


にごりえ」は元祖ノワール文学(人間の暗部を描く)のように感じましたし、「十三夜」は夫婦の危機という意味では「明暗」と共通しますが、全くエゴイズムとは隔絶したエンディングであるのが印象的でした。二十代前半で夭折しただけあって、会話文やメッセージが非常にまっすぐですね。無駄な語が一切無いのも驚きました。「たけくらべ」の冒頭部は「ある種」の歓楽街の描写からスタートしています。周辺学区の学童数が1000人とか、歓楽街が相当賑やかだとか、高齢化社会とは隔絶した世界が展開しています。


また、こういう優れた文学が生まれた背景の一つに、明治時代に入って士族階級が没落したことがあるかと思うと、複雑な気持ちにもなります。そうならないように頑張らねばとも(笑)今回は挫折したり積ん読したままにならないのではないかと、そんなことを思っています。