「恋はみずいろ」を聴きながら

北海道釧路市で不動産鑑定士をしております小原孝太郎と申します。普段の生活を中心に書いてます。

「遠い山なみの光」を読み終えて

少々時間がかかりましたが、カズオ・イシグロさんの「遠い山なみの光」を少し前に読み終えました。

今まで読んできた「日の名残り」「浮世の画家」「わたしを離さないで」は自分の宿命を受動的に受け入れた中で展開されていく物語だったように思いますが、この「遠い山なみの光」の主人公は、主体的に自分の環境、運命を選んだ女性の物語でした。(実際、どこまでが受動的でどこからが主体的なのかは、判別できないことが多いのだと思われるのだけれど・・・)その分、葛藤みたいなものが色濃く伝わってきた感じがします。最初この作品の邦題は「女たちの遠い夏」だったらしいですが、「緒方さん」という魅力的な男性も登場するので、原題に近いタイトルに変更されて良かったんじゃないかと思いました(笑)

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ストーリーは、主人公の娘の自殺という衝撃的なエピソードで幕を開けたにもかかわらず、延々と他人である佐知子さんと満里子さん母娘のエピソードが全体の2/3が過ぎても展開されていき、それが見事にラストで、今現在の主人公の話と完全につながっていくという、ものすごく緻密に練り上げられた小説です。驚きました。四つ目に読んだ作品ですが、この作品が一番展開が読めなかった分、テーマ(作者が伝えたかったこと)が伝わりました。

最初水墨画のようにぼんやりと物語が進んでいくのですが、それがだんだん写真のように鮮明になっていく、そんな感じです。

 

非常にテーマ的に重たいものが含まれているのですが、このどんでん返しのような物語の展開が面白かったです。子育て中の父親としては、この作品も「わたしを離さないで」と同じくらい、衝撃を受けました。これからのために、今までを捨てるということの重さということでしょうか…子育て中の方々には読んでもらいたい作品です(特にママさんは忙しいので難しいので…だから遠い記憶の中の話なのかもしれませんね・・・) 

 

 

引き続きカズオ・イシグロさん作品をすぐにでも読みたいところなのですが、非常に重いテーマなので、次は積ん読を少し解消してから、次は短編集「夜想曲集」か最新作「失われた巨人」を読んでみたいと思います。

 

(注)一部割愛して、翌日のブログに内容を移し、一部を修正加筆しました(平成30年1月13日)。