「恋はみずいろ」を聴きながら

北海道釧路市で不動産鑑定士をしております小原孝太郎と申します。普段の生活を中心に書いてます。

アルベール・カミュ氏「異邦人」を再読。

昨日深夜まで仕事をし、今朝は中途半端な時間に目が覚めてはしまいました。まだ読みかけの本もあるのですが、ツイッターの写真でお見かけしたアルベール・カミュ氏の「異邦人」を読み直してました。「人を殺したのは、太陽のせいだ」という主人公が登場する小説です。前読んだのは、三十代半ばの頃(息子が妻のおなかにいる頃)、最初に読んだのは二十才ぐらいの時でしょうか。アマゾンのブックレビューを見ると毎年必ず読む方もいらっしゃるようです。

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カミュ氏は40代の若さで交通事故で亡くなったそうですが、今の自動車のような事故防止装置があったら、もっと作品を残していたかもしれませんね)


ご存知の通り、この作品の作者もノーベル文学賞受賞者です。作品そのもの内容も改めて気になったのですが、著者の略歴が今回目にとまりました。文庫カバーに書かれた略歴によると、カミュ氏はアルジェリア出身とあります。今回は地名、地域的な事情に焦点を当てて読んでみました。この作品の舞台はフランスの植民地アルジェリアの首都アルジェで、主人公ムルソーはそこで働いています。(母の葬儀でそこから離れたマランゴという町に足を運びます)アラビア人という頻繁に出てくることから推測して、作者と同じフランスからの入植者だと思われます。フランスの首都パリについては、女性との会話の中で生活していたことはあるようですが、ボロクソに言ってますし、同じ入植者はパリに未練を残した愚痴を言うなど、本国フランスに対する微妙な感情を読み取ることができます。

かといって、アラビア人とも完全に馴染んでいる様子でもない。おそらく中央政府と植民地である地元との板挟みになってきたであろう、ムルソーの姿が浮き彫りになってきます。


そうやってみていくと、この小説、本当に不条理がテーマなのかな?という疑問が湧いてきます。太陽のせい、という動機は論理的に考えても決してわからなくはないのではないかと。


後半の裁判の章を読むと、メインテーマはそういった地域間の対立や内的葛藤ではないと明確になると思いますが、三回目の読書で、ようやくそういうムルソーの抱えてきた過去、地域的な背景を推測、読み取ることができました。


大学生の頃は、この作品はこういうストーリーなんだなという程度、前回三十代の時は異邦人というタイトルの意味がなんとなくわかった程度、そして、今回は異邦人というタイトルが重層的な意味を持っていることにようやく気づきました。


同じ本を読むことの大切さを今回痛感しましたし、私の若い頃の本の読み方は浅いな〜と反省した次第です。